古山シネマ

【映画】『私は、マリア・カラス』

マリアとして生きるには、カラスの名が重すぎるの…

映画『私は、マリア・カラス』
■監督:トム・ヴォルフ
■朗読:ファニー・アルダン
■配給:ギャガ
◎KBCシネマにて12月21日(金)より公開

 「マリア・カラス」、オペラには興味ない人でもこの名前は知っていますよね。1977年53歳で亡くなった“世紀のディーヴァ(歌姫)”の知られざる人生が40年を過ぎた今年、ドキュメンタリー映画として福岡のスクリーンでも上映。

 歌手としての輝かしい日々の一方でスキャンダルに包まれたマリア・カラスの素顔に迫ったのは、ロシア生まれでフランス育ちのトム・ヴォルフ監督。映画ファンにも馴染みのない名ですが、2000年代にカメラマンになり、企業のPR映画で映画界に。ニューヨークへ移り住んだ13年、ここでマリア・カラスの歌声に感銘を受け、彼女を探求するプロジェクトをスタート。

 この“探求”の仕方がスゴイんです!3年間世界中を旅して未公開の資料、映像、音源を探し出したのを始め、マリアの仕事仲間、近親者にも会いに行き、60時間以上のインタビューを行いました。

 それらの、まさに貴重な素材を使って完成させたドキュメンタリーが、彼の初の長編映画となる本作『私は、マリア・カラス』です。

 まぁほんとに“よくぞ見つけてくれた”という未完の自叙伝やプライベートな手紙、世界初公開の秘蔵映像、たっぷりの音源などに驚くと同時に華やかさの裏で苦悩する一人の女性マリアに胸が締めつけられ、涙が。

 1923年12月、彼女はギリシャ移民の子としてニューヨークで生まれ、その後離婚した母に連れられてギリシャに。娘の才能に気付いた母の勧めで年齢を偽って13歳でアテネ音楽院に入学。戦後アメリカに戻るもののオーディションには落ち続け、47年イタリアにてオペラ歌手として認められます。いくつもの舞台で主演するのに加え、28歳年上の男性との結婚も。

 その後の活躍ぶりは、言う迄もありませんね。若い頃の『蝶々夫人』を始め、『ノルマ』『椿姫』『カルメン』『トスカ』『ジャンニ・スキッキ』etcの舞台で伝説的とも評される彼女のアリアを歌う姿も、何十年の時を経てスクリーンで楽しめます。歌唱力の素晴らしさと共に、彼女自身がインタビューでも答えているとおり演技力のスゴさもあらためて再認識(今頃なに言ってるの!とオペラファンから叱られそう)。

 そしてマリア・カラスと言えばあのスキャンダルです。彼女の名声と金にしか関心がない夫にウンザリだった彼女の前に現れたギリシャの海運王オナシスとの恋。行く先々で取り囲むマスコミに夫との離婚表明もしたマリアでしたが、結果はジャクリーン・ケネディとオナシスの突然の結婚。“私もTVのニュースで知った”と報道陣に答えるマリアは可哀想。未完の自叙伝は「私にあるのは感謝のみです」というファンへのメッセージで途切れていました。

古山和子
RKBアナウンサー時代には「ユーアンドミー」や「ザ・モーニングダイヤル」などを担当。現在もラジオ番組や講演会で映画を中心にしたおしゃべりで活躍中。

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