終活特集:明るい未来が待っている!

Date:2013年11月27日13時54分 | Category:特集 | Writer:ぐらんざ編集部


2013年も残すところ、あと1か月。みなさんはどんな1年を過ごされたのでしょうか。
1年の締めくくりでもある今月は、少しゆっくりと、自分の心と対話をする、
そして家族や友人の心に寄り添う、そんな時間を作ってみませんか。
大切な人たちと、どんな幸せで明るい未来を作りましょうか—。


 爐擦辰く天から授かった命—、それぞれに定められた務めを充実させて、楽しい人生にしよう
 なんとも前向きになるこの教えを残したのは、福岡が生んだ江戸時代の偉大な儒学者、貝原益軒。
 生涯にたくさんの著作を残した中でも、『養生訓』は今なお、健康の手引きとして、また、心の養生書として広く読まれています。その中では狄誉犬了鯵抬瓩解かれています。

 三楽とは「1つはいい行いをして自尊心を高める。2つは健康で心配事がないこと。3つは長生きをして人生を十分に楽しむこと。たとえ、お金持ちであっても、後ろめたい気持ちをもっていたり、病気がちであったり、短命な人生であるのなら、この三つの楽しみは得られない」。

 長い人生ではあるけれど、必ず終焉のときを迎えるのが人生。そのときを迎えるまでにすべきことは何なのか…。これからの人生が豊かになるヒントを得るべく、お坊さんにちょっといいお話を聴いてきました。



残された大切な人たちの励みとなり、
      支えとなる存在になるために…。


狃活瓩箸蓮,海海蹐魑じうこと

 人生の終焉のときを意識することによって、今の人生をより豊かなものにしていこう…。近年、すっかり定着した“終活”の根本的な考え方です。

 遺言を記したり、断捨離をしたりと、物理的にできることは想像がつくけれど、それだけで、貝原益軒が唱えるように“人生を楽しく全う”できるのかしら…。

 そのヒントは、悟りの道に身を置くお坊さんが握るのでは…と訪れたのは、福岡市中央区今川にある金龍寺、貝原益軒とその夫人の墓所。ご住職の三好正信さんは、僧侶という立場から終活を考えると、そのキーワードは“自分送り”だといいます。

「一般的にはよく“思い出作り”と言われますが、人は死を迎えても自分が関わった人たちのこころの中ではずっと生き続けています。そこで、家族、友人、知人のこころに長く居続けるために、あなたは“自分をどう送り出し”ますか。例えば、みなさん経験があると思いますが、迷ったときや困ったとき『亡ったお父さんだったらこう言うだろうな…』ということがあります。単なる記憶ではなく、それは残された家族にとって非常に頼りになる。または、お父さんやお母さんに対して恥ずかしい生き方はできないと身が引き締まる。記憶は発展して人生の苦境のときの力に、支えになるものです。残された人にとってのそういう存在になるために、自分をどう送り出していくのか…という努力が必要なのではと思います。それは決して難しいことではなく、人に感謝することです。

 生きていればいろんなことがあるし、喧嘩することもあるし、人を許せないこともある。でも許すということは、許す自分を許せるかということなんですね。人はやはり、こだわりの中で生きていますから、わだかまりがあった人や疎遠になった人に感謝や優しい言葉を伝えるのは難しいものですが、生きている間にその作業をしようという意識が、家族の力や支えになったりします。
こころや思い出を、それぞれの残された人に残していくという活動こそが、ひとつの“終活”ではないかという気がしています」。また、ご葬儀や法事で残された家族のこころに触れる機会が多いご住職は、こうもいいます。

「今は、周囲の人に迷惑をかけたくないからと、人生の終焉を見据えて、なにもかもを自分で準備される方もいらっしゃいますね。これも残される人への素晴らしい気遣いです。ケースバイケースなので一概には言えませんが、おくる人の立場からいえば、こころの区切りを付けるきっかけを失ってしまい、のちのち喪失感が残されてしまいます。おくられる側の立場からだけではなく、おくる人の気持ちも、余裕があれば気遣ってあげることも大事なことです」。


爐靴△錣鮫瓩箸—?の答えを
      くれるのは、自分自身。


あなたは今を、感謝していますか?

 『養生訓』で貝原益軒は、天から授かった命を大事にすること、命は全うすべきであり、有意義に過ごすべきものだということを、儒教精神に基づいて唱えています。

人生、楽しまないといけません。でもそれは決して楽(らく)をすることではありません。楽の先に楽しみがあるかというと、そうではないことをみなさん経験していることです。そこで貝原益軒が言っているのは“ほどほどに”ということ。人生において自分の思っているような100点満点ということはそうそうありません。
「失敗と成功は、自分に与えられた選択肢の中で繰り返すものです。もちろん自分の努力があって、その選択肢が与えられるのでしょうから、努力をすることは大切です。そのことを踏まえた上で、“知足(ちそく)”つまり、足るを知る(自らの分をわきまえてそれ以上のものを求めないこと、分相応のところで満足すること)という仏教の根底思想を交えて、“今を感謝すること”が大事ですよ、ということを、私は伝えています」。

 少し前に“勝ち組・負け組”という言葉が流行ったように、つい他人と比べ優劣をつけてしまったり、もっと上をと、どこまでも理想を追い続けたりしますが、ちょっと歩みを休めて己を見つめ直すふとした瞬間を、どれだけ取る余裕があるのか…。そのこころの柔軟さが、人生を豊かにそして明るく照らすためには必要なのかもしれない…と、ご住職のお話を聞きながら思わず感じ入ります。

「日々の努力があって現状があるものです。人からの評価よりも、自分が納得して、自分の人生を生きるのであれば、貝原益軒がいうように、自分が今すべきことを見つけて生きることがしあわせなのかなと思います。これは私の親からの受け売りですが、世の中、いいことや嬉しいことは消費税と同じくらいですよ(笑)。ほとんどは苦しみであり、悩みであるけれど、明るい未来のためにも、『養生訓』で言っているように健康が一番ですね」。

 こころと向き合う“終活”―。人生のセカンドステージをより豊かに明るくするために、じっくりこころと対話をしてみませんか。



今回取材に訪れたのは 曹洞宗 耕雲山 金龍寺

1508年に開創された金龍寺。
幾多の変遷を閲し、現在の地に黒田藩二代目当主 黒田忠之公の祈願により、1647年より1649年にわたり移築建立された。

爾来、十数ヶ寺の末寺を有し、筑前の名刹のひとつに数えられる。
境内には貝原益軒墓所・銅像、倉田百三文学碑、妙清地蔵などがある。

住所:
福岡市中央区今川2丁目3-23
電話:
092-741-8942