夏の養生はじめませんか

Date:2014年07月29日10時40分 | Category:特集 | Writer:ぐらんざ編集部


からだの中から健康にってどういうこと?
今こそ知りたい“食養生”のススメ。



意外と身近?食養生って一体なに?

 健康にいいと聞けば思わず飛びついてしまった!なんて経験のある方も多いのでは?
巷にあふれる健康と食の情報…“からだの中から健康に”という考え方にもいろいろあると思いますが、今回注目するのは、“薬膳”における健康と食。

まず知っておきたいのは薬膳における“食養生”という考え方です。「食養生というのは、食を通して病気にならない予防をしたり、より元気に、より丈夫に、イキイキとできる体質をつくることです。つまり、病気になる前、未病から防ぎましょう、ということですね。病気になってからだと、それは“食療法”になります」。そう教えてくださったのは、薬膳料理レストラン『薬膳 天地・礼心』の社長であり、『東方薬膳学院』の学院長・尹玉(イン ユ)さん。からだにいいと言われているものは、万人にとっていいものであると思いがちだけれど、食養生の考え方でいうとそうとも言えないのだそう。

 「季節的な状況や、ひとに対する影響も理解した上で、個人の症状や今の状態、体質、精神状態もあわせて食べ物を選ぶというのが、薬膳の基本です」。

 でもやっぱり薬膳は、特別な食材や薬草を使ったり、生活の中では取り入れにくいのでは…?

 「そんなことはないんですよ!薬膳とは、“ちゃんと目的があって、食材を選んで、調理法を選んで食べる”ことなんです。例えば今の時期だと、湿気が多いから“湿”をからだから取り除くために、利尿効果が高い“冬瓜”を食べる。または、発汗して取り除くために“生姜”を食べるというのが薬膳なんですね。なのでスーパーの食材でも十分に薬膳は作ることができます」。








暑さと冷えは表裏一体!からだの声を聞き間違えないで。

旬野菜、食べ方次第でからだに負担!?

 とにかく暑い!年々暑さが増しているんじゃないかというくらいの暑さに、どうしても冷たい物を食べたくなりますが、これは食養生に添って考えてもNGなのだそう。

 「暑さから身を守ることはとても大切です。からだが熱っていたり、外気の影響をたくさん受けて熱がこもったりした時には、苦瓜やきゅうりといった鎮静化の作用がある旬野菜を食べるといいですね。しかし覚えていていただきたいのが、基本的には夏は1年の中で一番胃腸の機能が弱くなる季節ということです。夏は一番消化機能が衰える、お腹が冷える季節なんですね。

だから本当は夏こそ温かいものを食べた方が望ましいです。みなさん、夏になると食欲がなくなる…という経験をされたことがあると思いますが、これは本来夏は取り入れる時期ではないからなんです。そういった意味でも夏は胃腸をできるだけ守ってあげるためにも冷やし過ぎは要注意。

『旬の野菜をたっぷり食べていれは大丈夫!』と思いがちですが、冷房が普及していなかった昔と、現代では私たちを取り巻く環境も違います。清熱効果が高い野菜を食べ過ぎて、逆にからだを冷やし過ぎて、自律神経の乱れを起こしてしまった…なんてことも現代なら起りうるわけです」。

 庭で実った旬野菜を食べるのが楽しみ!という方もいらっしゃるでしょうが、1度に食べる量や、1週間に食べる回数など、自分のからだの体調に合わせてバランス良く食べることが大切なようです。

 また冷えに対して尹さんは、「冬はからだの“陽”のエネルギーが内臓の方にこもりやすいけれど、夏は逆に体表の方へと集まりやすいんですね。内臓が冷えやすい状況を、からだ自身が作っています。そこに冷たいもの、熱をとる作用があるものを取り過ぎるとさらに冷やしてしまい、消化機能を奪ってしまいます。

“夏バテ”というと、気温が高いからなると思いがちですが、実は、自律神経の乱れによるものが多いんです。中と外の温度差が激しいと自律神経の乱れを起こしやすく、夏バテにもなりやすいので注意が必要ですね」。


冷えた胃腸を温めるのにぴったりのかぼちゃ。
「かぼちゃとシナモンのもっちり揚げ」(『薬膳 天地・礼心』メニューより)


夏の疲れた胃を優しく労わりたいときにはおかゆを。
「蓮の実と粟のおかゆ」(『薬膳 天地・礼心』メニューより)





“湿”をいかに取り除くか…。
これこそ夏の食養生の大テーマ!


食材の組み合わせで“湿邪”を出す!

 福岡は立地的にも湿度が高い上、今は飽食の時代だからこそ引き起こされる食の影響で、自分の中からも湿を作り出してしまうことがあり、この“湿邪”をどう取り除くかがとても大事だという尹さん。

 「東洋医学では、冷たいものの取り過ぎが胃や脾臓などの消化器系を弱らせて、湿気をためやすい体質を作ってしまうと考えられることもあります。ですから、からだにとっての湿邪は改善したいものです。

湿邪を改善するには、食べ物がもつ利尿効果や発汗作用を利用しますが、さらに効率的に湿を取り除くには、気の巡りを良くするというのもひとつの方法です。気の流れを良くする代表的な食材といえば大葉、玉ねぎ、みかん、山椒。また、水分代謝を助ける食材といえば冬瓜やスイカ、きゅうりです。

これらは湿を取り除く効果もあるので、相乗効果で湿を取り除いてくれますが反面、からだを冷ます効果もあります。ですからおなかが冷たいとか、冷え性の方は生姜など、温める作用のものと組み合わせて食べるといいですね。私の冬瓜のオススメの食べ方は、おかゆにしたり、鶏肉と煮込んだり、白身魚と煮込んだりですね。例えば薬膳では、トウモロコシ・冬瓜・生姜をいれてスープを作ります」。

 気の巡りを良くする食材を上手に組み合わせて取りたいものですが、それらの食材の特徴は“良い香りの成分”があること。パクチーをはじめとしたハーブや、柑橘類の良い香りがするものがそれにあたるそうです。食材探しの参考にしてください。

湿を取り除く効果のある冬瓜。シンプルな味だから様々な食材と相性抜群!
「冬瓜と海鮮の翡翠煮」(『薬膳 天地・礼心』メニューより)



からだの負担を減らす生活習慣も大事!

 食だけを気をつけていても、健康なからだはなかなか手にはいりませんという尹さん。
 「夏は1年で一番陽気が盛んになる時季であり、心臓に負担がかかりやすい季節です。なので、心臓を養生するためにも、昼寝をすることをおすすめします。昼間に15分〜30分くらいの昼寝をすると夏は元気に過ごせます。

睡眠はとても大切です。夏は冬に比べて睡眠時間が短くても大丈夫なのですが、暗い時間に良い睡眠を確保できるように心がけてください。それと、汗をかくことも大切です。夏はやっぱり発散しないといけません。汗をかいていないと毒素がたまりやすく、とどまりやすくなります。

夏のこの時期を利用して、汗を上手にかいて、“からだの大掃除”をしてください。食べ物ももちろん大切ですが、宇宙の中で生きてる私たちですから、宇宙のリズムや摂理を自分の中に入れながら準じて生きるのが大事だと思います」。

 自然の摂理をうまく自分の味方にするからこそ作れる“健康”もある。食と自然と…今年の夏も、バランスよく健康体をつくりましょう!


◎取材協力

『薬膳 天地・礼心』社長
『東方薬膳学院』学院長
尹玉(イン ユ)さん。

中国の医食同源の思想に基づき、日本の環境や日本人の体質に合うよう、おいしく、食べやすく工夫した、創作薬膳料理のお店の社長。
体調に合わせて選べる、効能がわかりやすい薬膳メニューが人気。
『薬膳 天地・礼心』『東方薬膳学院』
■ホームページ http://www.shokuyokan.com/