リノベーションのすすめ

Date:2015年04月27日14時50分 | Category:特集 | Writer:ぐらんざ編集部


玄関はもともと幅が狭く奥行のあったものを物入れやホール部分を改造して使いやすく。上がると目の前にあった和室はフローリングの洋室にし、扉をあけても見通しがいい造りになりました。玄関横には手すりも付けて、来客にやさしい構造になっています。


キッチンから一段上がったダイニング、そしてリビングへの方向。以前は和室横を廊下が通っていたため、間取りが窮屈な印象でしたが、思い切って間を仕切る扉をとりはずすことによって、広がりが生まれました。段差も立体感を出すのに役立っています。


キッチンは、位置は変えていないもののすっきりしたデザインに。これまでのごちゃごちゃしたイメージと比べて使いやすそう。向かって右側の物入れだったスペースを整理し、洗面所方向へと直結させた廊下をつなげてバスルームやトイレへの導線が改善されました


玄関を上がり、リビングとダイニング方向。右側のふすまを開ければすぐ八畳の和室なので、来客をそちらに、ワンクッション置かずに通すことが可能。これまでは、廊下を渡って案内するような形になっていたので、スマートに。

一戸建て Tさんの場合
シニア世代に細かい部屋割りは不要
ゆったりとしたリビングに改造を


 ぐらんざ世代といえば、子供たちも独り立ちし、いよいよ夫婦でセカンドライフを歩もうか、という辺り。

 最近の傾向としては「やはり、子供が出てった後に、少しこぎれいにしたいと考えるお客様が多いようですね」と、福岡市内でリノベーションを手がける株式会社アポロ計画リノベエステイト事業部の松山真介さん。

「まず子供の部屋が不要になりますよね。そのために、小さな部屋を合わせてしまって大きなリビングに、という要望をいただきます」とのこと。

 確かに、子供が家を出て、専用の部屋がいらなくなれば部屋数はそれほど必要なくなります。であれば、より広々と暮らすための趣向をこらしたり、趣味に使うスペースを作ったりしたほうが有意義な日々を送れるでしょう。また、どうしても昔建てられた家は和室が中心であることが多いですが、シニアになってくれば椅子の生活のほうがはるかに楽になります。このページのTさん宅も下の図面を見てもらうとわかりますが、西側にあった四畳の和室と廊下をフローリングのリビングに張り替えて、中央の和室とつながる形にしています。これによって部屋が一体化し、全体を広く見せることができました。中央部分、八畳と六畳の和室をふすまで隔てていたのですが、とりはらうことによってすっきりした印象となっています。


一戸建てでもマンションでも、シニア世代のリノベーションは部屋数よりも広さを選択するのが基本。特にこのページのTさん宅の場合、洋室も和室も数があったので、四方にめぐらされていた廊下を一部寸断し、四畳の和室を洋室リビングに改装。さらにとなりのダイニングをつなげることで広々とした空間に変身。また、図面でわかるように北東側のバスルームも少し広くなっています。昔の住宅はどうしても断熱性が悪く、脱衣所とバスルームの温度差による冬場のヒートショック現象なども問題視されている昨今、断熱性能を上げるという側面からもリノベーションを行う際にはバスルーム周りをぜひ視野に入れたいものです。
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1階奥のLDK。テーブルのすぐ横はカウンターになっていて、キッチンから直接料理を手渡すことができます。料理をしながら家族とコミュニケートすることも。リノベ前は、手前にも洋室がありましたが、そちらとさらに手前の和室をつぶして、表の道路に面したガレージにしてしまいました。家からの車利用はこれでグッと便利に。LDK左側は洗面所とバスルームに続く導線です。


洗面所と、奥に脱衣所とバスルーム。調度も変えたので、ずいぶん明るい雰囲気になりました。水まわりの設備も家屋の老朽化とともに進みやすいので、思い切って交換するのがおすすめです。古い家のバスルームなどは断熱性能を上げることによって燃費がよくなり、結果的にガス代や電気代の節約につながることも。


外観はこんな感じ。むき出しだった窓にベランダ部と手すりがついて安心です。外壁からせり出した状態だったエアコンの室外機もここに設置することで安全性が高まりました。その下が八畳の和室スペースを使ったガレージ。元々窓が小さく、塗り壁の外観がやや殺風景だったためかえってシャッターがアクセントに。

一戸建て Iさんの場合
リノベーションをすることで
人生にフィットした暮らしを考える


 こちらは一戸建てのリノベーション例です。Iさん宅は、外観から手を入れ、窓には安全面に配慮してベランダ部を取り付けています。そして、キッチンの位置、トイレの位置までも見直し、より使いやすいレイアウトにしています。

 2階部分の細かく分かれた部屋と納戸を合わせることによって、広い寝室をとれました。また、ピアノ室など趣味の部屋を作ることもできています。

 1階部分では、八畳の和室スペースを改造し、ガレージにしています。こちらも部屋数を減らすことによって、より効率的な生活を送れるようになりました。

「極端に言えば、部屋はリビングと寝室さえあれば、という考え方ですね。それと、一戸建ての場合は必要な部屋だけ使ってあとは賃貸にまわすなんて方法もあります。要は、いかに人生にフィットする暮らし方をするか、ということ。住宅の設備の寿命はせいぜい20年が限度。その頃には当然建てた当初と生き方も変わっているわけで、そこにフィットさせていこう、ということなんです」(前出・松山さん)

 例えば、若いころは駐車場から歩くのが苦ではありませんでしたがやはり家にガレージがあったほうが便利とか、ふすまの開け閉めの数はできるだけ少ないほうが楽だとか、そんな理由がリノベーションの設計図をひく場合もきっとあるはずです。


写真では1階部分を紹介していますが、2階もかなり大胆にリノベを。3部屋あった和室はすべて洋室にしています。そして広めにとってあった納戸はピアノ室に改造。ピアノ以外でもオーディオルーム、トレーニングルームなどあいたスペースに趣味の部屋をつくるのもシニアに流行っているようです。


LDKとカウンターでつながったL字型キッチン。広いシンクと調理台が使いやすそうです。収納スペースもたっぷり。


(左)エントランスから屋内へ。これまでは横の和室と洋室を通らなければLDKに行きつけませんでしたが、ガレージ幅でゆとりができたため直行できます。
(右)玄関わきのデッドスペースにトイレを設置。真新しくセンスのいいデザインでコンパクトにレイアウトしています。

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約三十畳という広さを誇るリビング。左側には広い窓に面した明るいカウンターがあり、読書などにも最適です。窓をすべて二重サッシにすることで断熱性を高めています。コンビネーション風の天井も迫力が。

マンション Iさんの場合
新築ではなかなか実現できない
大胆かつモダンなインテリア




 一見して一戸建てと思わせる広々としたこちらのお宅も、マンションながら細かい部屋をひとつにまとめることで開放的な空間を作り出しています。

 屋根に傾斜をつけることによって一軒家のような雰囲気を演出。築年数25年とは思えないゴージャスさです。また、リビングのフローリングと段差をつけた土間部分がより家全体を立体的に見せているのも特徴。リビングを見渡せるアイランドキッチンや、モダンな印象のレストルームも魅力的。

 そして、こういった広々としたマンションにあこがれるのであれば、「新築購入はあり得ません」(前出・松山さん)とのこと。

 100屬旅さを持つマンションなどはまず売り出されないし、あるとしたら注文住宅くらいのもの。それなら住み替えも視野に入れ、中古マンションを大胆にリノベーションするのが、理想の住まいに近づくひとつの方法といえそうです。

 住宅を資産という側面から考えた場合、特にマンションは新築から20年たつと値段が半分になると言われています。そしてその値段まで落ちるとしばらくは下げどまり状態が続きます。そしてさらに、その購入した中古マンションをリノベーションした物件は、その後で売却することも可能なのです。


写真では見えませんが、エントランスから見てリビングの右手奥にも土間風の部屋が。カウンター下の土間から床つながりになっています。こちらも扉は取り払われていて、トレーニングスペースとしても利用できそうな広さ。やはり大きな窓からよく採光ができています。



(上)普段はダイニングテーブルをセットして使っているアイランドキッチン。ダクトもあえて無骨なタイプを取り付けているところが本格風です。
(下)ワイドサイズのおしゃれなミラーが効いています。バスタブもモダンなデザイン。



(右)エントランスには木目を生かしているところが特徴的です。リビングへ続く格子戸もどこか和のムードを醸し出します。
(左)トイレまでスタイリッシュ。壁面には、洗面所にも使っているブルータイルを使用して、落ち着いた雰囲気を演出。
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株式会社アポロ計画リノベエステイト事業部
松山真介さん


いまだからこそ考える 住み替え、引っ越しの必要性
日本人は特に一軒の家に長く住む習慣がありますが、年を重ねてくると、やはり郊外に住み続けるのは不便もあります。特に福岡は市内にあらゆる施設が集中してますし、どこへ行くにも便利ですよね。先祖代々の家を守っているというなら別ですが、そうでなければ資産をコンパクトにする意味でも現在の家を売り、思い切って引っ越しを考えるという選択もあります。もちろん購入した中古住宅のリノベをしてもかまいませんし。
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