芸術特集 アートと出会う夏

Date:2016年07月20日13時01分 | Category:特集 | Writer:ぐらんざ編集部

青木繁『わだつみのいろこの宮』1907年/重要文化財







ピエール=オーギュスト・ルノワール
『すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢』 1876年


九州に本格的な美術館がまだなかった1956年、ブリヂストンの創業者・石橋正二郎により石橋美術館は誕生。
「久留米を文化都市にしたい」という想いで誕生した同館では、東西の名画を招聘した展覧会が数多く開催された。1963年に開催された「松方コレクション展」には16日間で10万人を超える来場者数を記録。アートに飢えていた九州の人々にとって、なくてはならない美術館であった。







藤島武二
『チョチャラ』 1908年


厳しい審美眼により集められた石橋コレクションは自館だけでの展示にとどまらない。北は岩手県、南は宮崎県と日本各地を旅し、多くの人を魅了した。その数なんとのべ39万人。この『チョチャラ』も全国を旅をしている。今回の展覧会では作品だけでなく、他館での展示風景の写真や図録など旅の軌跡も展示している。





青木繁
『海の幸』 1904年/重要文化財


石橋美術館の名を全国に広めたのは、坂本繁二郎、青木繁、古賀春江ら久留米を代表する画家たちのコレクションの存在が大きい。彼ら三人の久留米出身の画家たちを中心に筑後地方の洋画家たちの作品や、資料の収集や調査研究を続けてきた。




黒田清輝
『針仕事』 1890年


石橋美術館の役割は展覧会の企画・運営だけでは終わらない。ギャラリートークや、ミュージアムコンサートなどのイベントを開催し、様々なアプローチからアートと人々の接点を作る仕掛けづくりにも早くから取り組んできた。本展覧会の最終章では、展覧会以外の事業を写真と作品で振り返り、様々な美術館活動を紹介。左の『針仕事』は、ミュージアムショップで絵葉書売上ナンバー1。




※月曜休館(8月15日は開館 ※入館は16:30まで
















豊福亮+Chiba Art School『沈まぬ船』
伊吹島
※秋会期のみ
瀬戸内国際芸術祭は、アートを通して島々の将来の展望を拓くことが大きなテーマになっている。そんな想いを体現したアートがこの『沈まぬ船』。魚網などの漁道具や、生活用品を使って魚の群れや海の中をイメージした立体作品だ。地元の小中学生や島の人たちと協働して作った約6万個の浮きは、観る人を圧倒する力強さを持っている。

クリスチャン・ボルタンスキー
(フランス)『ささやきの森』
豊島

現代アートの魅力は、作品が観ている人と同時代に生まれていること。中には、鑑賞者の手が加わることで初めて完成する作品も。この『ささやきの森』は、正にそんな作品だ。豊島檀山のふもと、十輪寺の奥の森林に設置された400もの風鈴。風になびくたび、静かな音を奏でる。それぞれの風鈴は人の魂を象徴しており、そこを訪れた人々は風鈴の短冊に大切な人の名前を残すことができる。(登録料が必要)


リン・シュンロン(台湾)『国境を越えて・潮』
小豆島

この芸術祭のためだけに作成された作品に出会えるのも、瀬戸内国際芸術祭の嬉しいところ。『国境を越えて・潮』は、この芸術祭のために生まれ、そして消えていく作品だ。
海辺に佇む、砂と泥で出来た196名の子供の像。“196”という数字は、日本が認めている国の数である。首には世界各国の首都の地理座標と距離を記した流木のプレートをぶら下げている。子供たちの体は次第に太陽や雨、風の下で浸食され、土に帰っていく。最後はプレートしか残らない、今このときだけしか出会えないアート。

草間彌生『赤かぼちゃ』
直島

新たに生まれた作品だけでなく、大物アーティストの著名な作品ともお目にかかれる瀬戸内国際芸術祭。
直島にフェリーで到着すると真っ先に目に入るアートは言わずと知れた、草間彌生の『赤かぼちゃ』。草間自身はこの作品について「太陽の『赤い光』を宇宙の果てまで探してきて、それは直島の海の中で赤カボチャに変身してしまった」と語っている。




※「作品鑑賞パスポート」で鑑賞できる作品の個別鑑賞料の総額です。地中美術館(直島)、豊島美術館(豊島)は、パスポートのご提示で、1回のみ鑑賞料1,000円(税込)で入館が可能になります。









八女手漉き和紙
八女市


日本人にとって古くから身近な存在だった和紙。全国各地でつくられているが、九州で最も古い歴史を持つのが「八女手漉き和紙」だ。繊維が太く、腰が強く耐久性に優れており、版画家・棟方志功が『東海道五十三次』を制作する際に画材として選んだことでも知られている。
この和紙を使ったランプシェードや、絵ハガキ、切り絵作品は、柔らかな風合いで眺めているだけで優しい気持ちに…。

◎取材協力/一般財団法人 FM八女






大川組子
大川市

家具の町として知られる大川市。その歴史は古く、460年前の船大工時代にまで溯り、伝統の技は脈々と受け継がれている。そんな大川の建具装飾につかわれてきた「組子」という技法が今注目を集めている。和のたおやかさがありながら、華やかな組子は「ななつ星in九州」にも採用されたことで話題に。
組子のコースターや小物入れなどは生活に取り入れやすいと喜ばれている。何気ない毎日を美しく彩るアートを手に入れて。

◎取材協力/大川観光協会