映画『たたら侍』

Date:2017年04月20日13時01分 | Category:シネマ | Writer:古山和子
映画『たたら侍』
強さに憧れた若者が、本当の強さに気付いた時…




映画『たたら侍』
©2017「たたら侍」製作委員会
原作・脚本・監督:錦織良成
出演:青柳翔、小林直己、田畑智子、石井杏奈
配給:LDH PICTURES
◎5月20日よりT・ジョイ博多、 ユナイテッド・シネマキャナルシティ13、
 福岡中洲大洋ほかにて公開


最近は時代劇映画なかなか観ませんね、かつて邦画界を賑わしていた侍ものにやくざもの、またお姫様ものなど多くの時代劇を思い出す方も。
ご紹介するのは、自分の村を守るため侍になることを選ぼうとした農民の若者が主人公の時代劇です。
昨年のモントリオール映画祭で最優秀芸術賞を受賞、しかも製作、主演俳優達があの人気パフォーマンス集団「EXILE」って聞けば、かなり興味湧きますよね。

 ところで“たたら”って、私の周りの若い人は“えっなに?”でしたし、“たたらを踏む”なんて言葉も最近は聞きませんねぇ。

 日本古来の鉄作りの過程で“たたら”は“ふいご”を意味していて、大昔は踏みふいごのことだったのが、後に鉄作りの炉のことも“たたら”とよばれるようになったとのこと。

 時代は戦国末期、名刀を生み出すための千年錆びないと言われる鋼(はがね)を作る村が出雲の山奥にありました。
このたたら村の鋼は出鐵鋼(いつづものはがね)とよばれ、刀匠だけでなく、大名を相手の商人たちも手に入れるのに躍起となっていた貴重なものだったのです。
門外不出の技は一子相伝で受け継がれ、主人公の伍介も将来は村下(むらげ)と呼ばれる鋼作りの責任者の道が待っています。
しかし、村は鋼を狙った山賊に何度も襲われ、その度に強くなって村を守りたいとの思いを募らせていく伍介。

 ある日、やって来た商人から、“農民でも侍になれる世がきた”ことを知らされ、強くなりたい一心から掟を破ってまで村を後に。
都では大商人が快く侍への士官の世話をしてくれ、織田軍に仕えることに。ところが伍介を待ち受けていたのは、強くなって村へ帰るどころではない厳しい現実で、命からがら村へ逃げ帰るのでした。
しかし続く戦さの世は、刀から火筒へと時代を変えて村人を戸惑わせ、おまけに世間知らずの伍介の甘さのせいで、たたら村は大変な窮地に追い込まれていきます。

 原作、脚本、監督の錦織良成は島根県出雲市の出身。
『RAILWAYS49歳で電車の運転士になった男の物語』では宍道湖畔を走る一畑電鉄を、『渾身KON|SHIN』では隠岐の島で受け継がれる古典相撲など、故郷を舞台に心打つ映画を撮り、海外の映画祭でも高い評価を受けている実力派です。
伍介を演じるのは『渾身KON|SHIN』で見事な廻し姿の相撲を見せてくれた劇団EXILEの青柳翔。

 古来から伝わる和鐵作り技法のリアルな再現や、出雲の宮大工の協力なども得て作られたというたたら村のオープンセットなど、日本人なら胸が熱くなりそうな見どころがいっぱいです。


古山和子
RKBアナウンサー時代には「ユーアンドミー」や「ザ・モーニングダイヤル」などを担当。現在もラジオ番組や講演会で映画を中心にしたおしゃべりで活躍中。