【特集】未来を創る快適な住まいのつくり方

Date:2012年03月27日14時50分 | Category:特集 | Writer:ぐらんざ編集部
生活の基盤ともいえる“住まい”。
これから先、安心・安全・健やかな生活を送るために、私たちが考えなければならない住まいのカタチとは、一体どのようなものなのでしょうか—?


住みよい環境について考える。


住環境のプロに聞く高齢者にとっての住みよい環境

 安心かつ安全な毎日の基盤となる“住みよい住環境”。
一言で住みよいと言っても、その判断基準は、その時々で大きく変化するもの。

では高齢者にとって“住みよい”住環境とは、どのようなものか。
ズバリ―「商店や金融機関、病院が近くにあり、歩いて暮らせる環境が望ましいです。高齢になれば、車の運転や長時間の公共交通機関での移動が難しくなりますから」と話すのは『NPO 高齢者快適環境生活つくり研究会』代表理事の吉永美佐子さん。

高齢者が安心して暮らせる環境づくりに取り組む吉永さんが考える理想的な住環境とは、“地域コミュニティ”ができていることだという。「近年、独居や高齢者のみ世帯が増加していることを考えると、見守り的なサービスがある住環境は望ましいですね。昨年度法制化された“サービス付き高齢者向け住宅”のような、何かあった時にケアを受けられる住環境は理想的です」という。



10年後の生活を念頭に入れていますか?

 「自然に囲まれた郊外での生活に憧れる方も多いですが、転居後、病気や怪我で移動が難しくなり、せっかくの夢を断念される方も少なくありません。高齢になってからの転居は認知症等の症状を招きやすいので、10年後を考えて、買い物をできる場所、交通利便性、金融機関、病院など生活に必要なサービスがあるかどうかを確認することが大切だと思います」と吉永さん。転居の判断基準として、“10年後”の生活を想定することが肝心要な視点なのだ。

今後の生活に備えたリフォーム&住まいのカタチ。


備えるべきは身体機能の変化に対応する造り。

 “スタイリッシュさ”や“お洒落さ”
―若い頃、こういった基準でリフォームをしたり、住宅探しをした…という経験がある方もいるのではないかと思うが、50代、60代では、この判断基準も見直したいところ。

「歳を重ねると確実に脚力は低下します。デザインを重視し過ぎて転倒などのリスクが高くならないようにすることが大切です。特に注意すべきは、浴室とトイレ。また、視力や聴力の衰えに備えて、段差は識別しやすいように、照明の照度にも留意することが必要です。広すぎて声が聞こえないような造りも避けた方が良いでしょう。
毎日の生活をしているところだから…と安心していても、思わぬ危険が出てくる可能性も。認識力が衰えることも想定して、日々の生活動線がスムーズなこと、火元の始末がしやすいこと、万が一の災害時に避難しやすいことを念頭に置いた間取りにしておくと安心です。寒暖の差が少ない造りにしておくことも大切です。廊下幅やトイレ、浴室の造りをゆったりとリフォームしたという方も多いでしょうが、室内だけでなく、家の中から外、道路との段差など外出する時の経路にも配慮されていると、さらに理想的ですね」と吉永さん。
身体機能の低下に順応した造りこそ、重要な判断基準といえる。



「終の棲家」探しに大切な視点。


自分らしく暮らせる環境つくりを

 住宅の機能性さえ満たしていれば、理想的な“終の棲家”と言えるのかというと、そうではない。
吉永さんによると、「身体機能の低下に直結する“閉じこもり”を避けることが最も大切。そのためにも、“社会参加がしやすい環境”を選ぶことが重要です。郊外であっても、交通利便性の良いところ、車に乗れなくても外出しやすいこと、日々の生活で行っている活動が継続できるような住み処を慎重に選ぶことが必要です」だそう。

賃貸住宅であれ、持ち家であれ、高齢者向け住宅であれ、何よりも大切なのは、地域の交流、社会との接点が多い周辺環境を作り、自分らしく暮らすこと。それこそ、未来の安心生活に繋がるのだ。

前向きな気持ちこそ必要不可欠な条件

 「認知症にしても、脳梗塞や心筋梗塞にしても、すべては生活習慣が原因です。いくつになっても生きがいや夢、目標を持ち、人と関わることを大切にし、可能な限り社会に役立つような活動をしながら、元気に暮らし続けることができたら…と思います。50歳くらいから、運動・食事・社会参加を大切にして、日々を前向きに生きるトレーニングを始めましょう」と吉永さんからのアドバイス。
みなさんも、明るく楽しく、社会と交わりながら、住みよい環境を作っていきましょう!



今回、お話をお伺いしたのは、
福祉住環境コーディネーター協会 理事
特定非営利活動法人高齢者快適生活つくり研究会 代表理事
特定医療法人 楠病院 理事
吉永美佐子さん
『NPO高齢者快適生活つくり研究会』とは、高齢者・障害者を含め、すべての人々が快適な生活を営むことができる豊かな社会の実現のために、保健・医療・福祉・住宅関係等の学識経験者、専門職、ボランティアや市民により、地域で安心して暮らすための情報収集・発信のネットワーク作りを目指し活動し、活躍する団体。