ハットをかざして 第165話 局長命令

ハットをかざして 第165話 局長命令


 私が机でボーッとしていると、局長に呼ばれ、「暇なら映画でも見てきたら」と云われる。彼は彼で競馬の血統書年鑑で、競走馬の血筋を探っている。

 「このごろは、何の映画がいい?」

 「はい、深作欣二の『仁義なき戦い』でしょうか。『アルジェの戦い』(ジッロ・ポンテコルヴォ監督)に負けない、テンポの良さと迫真のリアリティがあります。菅原文太も任侠物よりいいんじゃないでしょうか」

 「ふーん、君がそう言うのなら、観てみようか。『ラストタンゴ・イン・パリ』(ベルナルド・ベルトリッチ監督)は観たの?」

 「はい、マーロン・ブランドが非常に落ちぶれた中年男役で、ちょっと情けない。彼はやはり『革命児サパタ』(エリア・カザン監督)や『波止場』(同)のテリーみたいな、微動だにしない男らしい役が合っています」

 「去年の、『ゴッドファーザー』(フランシス・F・コッポラ監督)は良かったよね」

 「はい、新旧交代映画ですね。マーロンは脇にひいて、新人アル・パチーノを世に送り出した映画です。ニーノ・ロータの音楽が作品の出来を高めてました」

 「ところで、日活が心機一転がんばっている、ロマンポルノは観たことあるの」

 「いえ、ポルノはありません」

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